2015-06-07

「押し付け」ではなく、「促す」

情報番組を見ていたら、明らかに普段運動をしていなさそうな芸能人が最近流行してるスタイルのヨガを体験する企画をやっていた。

アサナに入る前、インストラクターが呼吸からガイドを始め、次々と身体のどこを意識するかを伝えていく・・・。
TVを見ながら、この時点でわたしはちょっとした違和感を感じていた。


・・・すると、体験している芸能人のひとりが

「ちょ、ちょっと待ってください!」

とインストラクションを遮り、

「情報量が多すぎてついていけないです。(インストラクターのガイドに)しがみつくのに必死で。文字量多すぎませんか?」

というようなことを言った。
彼は笑いをとるために言ったのかもしれないけど、実に的を射たコメントだった。


そう。
わたしが感じた違和感はまさしくそれ。


尾骨から頭頂まで一本の糸が通っているように、なんたらかんたら・・・
恥骨を引き上げ、なんたらかんたら・・・
お腹を背中の方へ引き寄せ、なんたらかんたら・・・


最初からそんなに一気に言っちゃう???
というインストラクションだったのだ。
TV収録だから、時間が限られていて急いだのかもしれない。
でも、これ、普段ヨガやらない人には理解できないし、頭の中に「?」ばかりが浮かんで逆に集中できないんじゃないかなあ?
何年やっても自分の身体にきちんと意識を向けるのは難しいものだもん。


アシュタンガは基本、あれこれとガイドをされないから、アシュタンガ以外のヨガクラスを受けるといつも、しつこいな〜と思ってしまう。
同じ動きを繰り返していく中でフォーカスすることを少しずつ増やしていくならわかるんだけど、最初からガイドで飛ばしていくタイプのインストラクターにはどうしても馴染めない。
そんなにいろいろガイドしないといけないものなのかな?と感じてしまう。
なんだか、インストラクターのエゴを押し付けられているような不快感を感じてしまう。


呼吸、ドリシュティ、バンダにフォーカスしていくアシュタンガは、常に自分の内側と対話して、自分で探っていく。
アサナの中でフォーカスすべきことは、インストラクターのアジャストで気付く。
そういう意味でとても静かなスタイルだ。


まあヨガスタイルなんて、合うか合わないかとか好みの問題だから、いくらわたしがアシュタンガヨガは素晴らしいと言ったところで、やりたくないという人だっているわけで。
わたしもほかのスタイルのインストラクションに馴染めないのはそれと同じだ。

でもわたしは、自分がなかなか掴みづらかった身体の細部の感覚を、耳からの文字情報じゃなくて、「さあ、感じて!さあ、感じて!」って無理やり押し付けるやり方じゃなくて、さりげなく気付かせることができる、伝えられるひとになりたいなあと思う。