2013-10-15

乳がんとヨガ

「乳がん患者さん向けヨガセラピー 指導者養成講座」を受講してきました。
受講者の中にはわたし同様にBreast Cancer Survivor の人もいました。
みなさん、カミングアウトしなければ見た目にはまったくわからない、若くて、可愛らしくて、明るくて、そして自身の体験をきちんと話してくれる方ばかりでした。
わたし自身もがんになったこと、手術をしたことは普段から隠していないので、すんなりとその場の雰囲気を受け入れていました。そんな和やかな雰囲気の講座でした。

講座では、いろいろな気付きがありました。



ヨガ自体が最終目的ではなくて、ヨガによってもたらされる健やかな生活こそを生徒さんは求めている

というお話にはっとしました。

わたしがヨガを始めたきっかけは、パニック障害を自分の力で少しでも軽減したかったから。

ヨガ=呼吸や瞑想=リラックス=パニックの軽減

という図式を想像して始めたようなものです。(これはまさしく、狙い通りとなりましたが。)
それってまさしく、”ヨガの先にあるもの”を求めてヨガクラスの扉をたたいた・・・ということですね!
乳がん患者さんがヨガクラスを受けたいと思う理由は、運動不足だからスポーツジムでヨガクラスを受けよう、というのと全く違うはずです。
本当に伝えなければいけないメッセージ、これをきちんとわたしが認識していないといけない。
伝える立場として、ヨガ歴が何年とか、指導歴が何年とか、そんなことは関係ないなと。
根本的なメッセージを伝えようとしているか、努力できるか、そしてそれが相手に伝わるかが大切なのだとあらためて認識しました。



安心できること、安心できる場

「自己否定」。私にとってこの言葉は病気とは関係なくずっしりと重いテーマです。
でも病気になったとき、誰もがやることは「犯人探し」なのだそうです。

なぜなんだろう?どうしてなんだろう?このせい?あのせい?

多かれ少なかれ、頭をよぎらないことはないでしょう。
わたしも一瞬、考えました。
乳がん、子宮がんは出産経験のない30-40代女性に多いと言われています。だから、

「これは子供を持つ、ということを放棄した自分への罰なのか?」

と。幸いなことにわたしはそれ以上の犯人探しはしませんでしたが。
もし自分がそうやってどんどん自分を、そしてがんを否定し続けていたら・・・、とても辛く苦しい日々を送っていたと思います。
だから、そんなあてどない犯人探しに陥っている人がいたら、この場では犯人探しはやめましょう、休みましょう、・・・という安心できる場を作りましょうという岡部朋子先生の考え方に深く共感しました。

もちろん「犯人探し」に限らず、普通のヨガクラスでは引け目を感じてしまう人たちにとっても、安心して寛いでもらえる、敷居の低い環境作り。これが大切だということも痛感しました。



自分も体験者であるけれど、こうして学んでみないとわからないこと、気付かないことがたくさんありました。他の体験者の方の話もとても参考になりました。
同じ体験者であっても、病気のステージ、治療方法の違い、主治医の先生の方針や考え方、そして本人の病気や治療、生き方に対する考え方や価値観は千差万別。
でもどれも尊重し、応援していくのがわたしたちヨガを伝える側の仕事だということを認識できた貴重な時間でした。

準備が整ったら、ヨガクラスを始めていこうと思います。